2023 (令和 5) 年があと 2 か月ほどになって，今さら，というところではあるが，今年の干支 「卯」 に因んで 「うさぎ座」 を紹介しておこう。
あまり明るい星のないこじんまりとした星座だが，意外に見つけやすい。それというのも，右図のうさぎの耳の上にある，サンダルを履いた足にある 1 等星が リゲル (Rigel)，つまり 「オリオン座」 の β 星だからだ。要するに，「オリオン座」 を見つければ，その真下にある 3 等星で形作られた四角形が 「うさぎ座」 ということ。（右図をクリックすると星図になります）
小さな星座ではあるが，起源は古く，いわゆる 「トレミー星座」 のひとつである。
四角形の左の縦辺の上が α 星で，アルネブ (Alneb) という名前がある。アラビア語の Al Arnab，まさに 「うさぎ」 という言葉が元だという。下の β 星には，ニハル (Nihal) という名前があり，Al Nihal 「のどがかわいたらくだ」 という意味だという。ただ，この名前は，元々は，α，β，γ，δ の 4 つの星につけられたもので，4 頭のラクダという，いかにも アラビアの牧畜民 由来の名前だといえるだろう。と，いつも参考・引用させてもらっている 原 恵 著 『新装改訂版 星座の神話』 (1996，恒星社厚生閣，p. 228) の説明だが，より目立つ α，β，ε，μ の 4 つの 3 等星からなる四角形の名前ではないかと思えるのだが，いかがだろうか。
その 4 つの星々は，別名として，アル・クルシイ・アル・ジャバル (Al Kursiyy al Jabbar)，「オリオンの足台」，アル・アルシ・アル・ジャウザ (Al' Arsh あｌ Jauzah) ，「巨人の王座」 というものがあり，また，うさぎ は，オリオン が好んで狩った獲物だということで，そのために 「オリオン座」 の真下に置かれたらしい。
寒い真冬の星座だが，見つけやすい星座でもあり，2 月 6 日ごろの 20 時には，真南に見えるので，ぜひ，「オリオン座」 といっしょに見て欲しいものだ。
(2023.10.25.)